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2023/04/01
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脳科学を活用してクリエイティブを評価するD-Plannerとは?

脳科学を活用してクリエイティブを評価するD-Plannerとは?イメージ

「時間がない」「予算がない」「代替手段がない」といった理由で、TVCMや商品パッケージデザインなどのクリエイティブ制作における比較や評価を十分に行えないとお悩みではありませんか?「勘」や「経験」、「上位者の判断」など、定量的ではない方法でCM案やパッケージ案を決定すると、意思が伝わらず、印象に残りにくいデザインとなるおそれがあります。
このような課題を解決するのが、脳科学とAIを組み合わせた技術でデザイン制作を支援するNTTデータのサービス「D-Planner」です。この記事では、クリエイティブ制作の課題に触れながら、D-Plannerの概要や活用方法について紹介します。

1. 従来のクリエイティブ評価における課題

TVCMやパッケージデザインなどのクリエイティブ制作を行うにあたって、以下のような課題を抱えている企業が多く見られます。

CM視聴者の好感度調査は設計や分析に時間がかかる

TVCMを制作したあと、視聴者が製品や企業に対してどのような印象を抱いたかを調査することは重要です。本来、CMを放映する前にABテストや好感度調査を行うことで、CMの効果をより高められます。しかし、ABテストや好感度調査の設計・分析には多大な時間と手間がかかります。そのため、詳細な調査・分析を行わずにCMを公開している企業も少なくありません。

勘・経験で可視化ができない、あいまいなクリエイティブ評価を行っている

クリエイティブの評価を行うためには、どうしても時間やコストがかかります。社内稟議の都合上、スケジュールに制約があったり、十分なコストを費やせなかったりするために、勘や経験によるクリエイティブ評価を行っている企業も多いのではないでしょうか。
社内で制作したラフデザインの活用など、本来クリエイティブにおける選択肢は多様です。一方で、これらを十分に活用することは、スケジュール面や予算面で難しいのが現状といえます。

媒体ごとのクリエイティブ制作(製作)に無駄なコストが多く発生している

近年では、インターネット広告の登場により、企業の広報活動における選択肢が増えました。一方で、選択肢が多くなるほど、時間や費用がかかってしまします。たとえば、TVCM向けとインターネット向けのクリエイティブは異なる部分が多いため、それぞれの制作に多くの時間を費やす必要があり、無駄なコストが発生しているケースも多く見られます。

2. D-Plannerとは?

前述した課題に対して、近年ではAIを活用したアプローチがされるようになってきています。ここでは、NTTデータが提供するソリューションである「Neuro AI」を解説します。

D-Plannerの概要

D-Plannerは、NTTデータが持つ基盤技術を基に開発された、クラウド型の次世代マーケティングソリューションです。「脳科学×AI」を活用して、広告の企画・制作・評価を支援します。産学共創プロジェクトから生まれた脳情報予測技術「Neuro AI」により、消費者がクリエイティブコンテンツをどのように認知するかを予測・解析できます。
D-Plannerでは、クラウド上に素材データをアップロードするだけで解析結果が表示され、広告クリエイティブをあらゆる角度から定量的に評価可能です。
広告クリエイティブを「感覚」で作るマス広告全盛時代は終わりを告げ、広告クリエイティブに「根拠」が求められるデジタル広告時代が到来しました。このような時代において、D-Plannerによる科学的なアプローチは有効な選択肢となるでしょう。

D-Plannerの技術

D-Plannerでは、「脳の反応パターンをAIで予測すること」で、科学的な分析が可能です。
脳の深いところまで活動状況を測定できる機能的磁気共鳴画像化装置(fMRI)により、サンプルとなる映像や画像を見た際の脳の反応を調査します。さらに、脳の反応パターンに応じて、人が抱く好感度や思い浮かべやすい言葉を記憶させます。これらのデータを学習させた人工知能に対して、評価の対象とするクリエイティブコンテンツを読み込ませることで、人の脳が認識すると思われる標準的な感情や好感度などの推測が可能です。

D-Plannerの効果

ABテストや好感度調査を実施するためには多くの費用や時間が必要です。D-Plannerを導入すれば、コストを抑えながら、繰り返し分析を行えるようになります。
D-Plannerでは、制作されたコンテンツをアップロードすることで、脳情報を基にした知覚・印象予測を最短40秒で実現します。条件を変えて何度でも分析できるため、さまざまなクリエイティブ案の比較検討もしやすくなるでしょう。
また、象度予測や広告効果予測、好感度予測など、消費者購買行動モデル(AIDMA)をカバーする9つの機能を備えており、あらゆる角度からの分析を行えます。年代・性別で評価を変えることもできるため、自社のターゲットに合わせた評価が可能です。

3. D-Plannerの活用方法

それでは、D-Plannerはクリエイティブ評価においてどのように活用できるのでしょうか。以下では、ケースごとにD-Plannerの活用方法を紹介します。

CM制作

D-Plannerでは、動画コンテンツを基に、視聴者がどのような印象を持つかを分析できます。上述のとおり、分析は最短40秒で完了するため、さまざまなパターンでの印象分析が可能です。
たとえば、複数案でクリエイティブ制作を行った上で、自社のターゲットとなる年代・性別を対象に印象度予測や好感度予測を行えます。これにより、CMの効果を定量的に測定することが可能となるでしょう。
「うれしい」「悲しい」「楽しい」など任意のキーワードを設定したうえで、それらがどの程度視聴者に伝わるかの予測もでき、広告の意図が正しく伝わるかの評価を実現します。加えて、D-Plannerには、20業種・146業態の企業が制作した約50,000本のCM作品が登録されており、業種・業態別にクリエイティブを比較する使い方も効果的です。

商品パッケージ

商品パッケージにおいて、印象度調査などのテストを実施するためには、調査設計や多数の被験者を用意する必要があり、手間や時間、費用がかかります。D-Plannerを活用すれば、パッケージデザイン案をアップロードするだけで、注目されやすいポイントや印象の可視化が可能です。
それぞれのパッケージデザイン案について、まずパッケージのどこに注目が集まるかのアテンション予測や、各パッケージに対して持つ「美しい」「都会的」「シンプル」などの印象調査も実現します。
これにより、時間や費用をかけずに複数のパッケージデザイン案を比較できるでしょう。

その他

D-Plannerは、プロダクトプレイスメントや映画宣伝動画の制作・評価にも活用できます。プロダクトプレイスメントは、うまく実施しなければ「あからさまな広告」にもなりかねない手法です。事前にD-Plannerで効果分析を行うことで、視聴者が持つ印象を確認しながら政策を進められます。

まとめ

この記事では、脳科学とAIを組み合わせた技術でデザイン制作を支援する「D-Planner」の特徴や機能を紹介しました。クリエイティブ評価において、客観性は重要な観点です。一方で、アンケートなどによる定性調査や脳波測定・アイトラッキング調査を実施するには、コストも時間もかかります。D-Plannerはコスト・時間の両面で、クリエイティブ評価における有効な選択肢として活用できるでしょう。